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Red Wall & Stairs

困難の向こうには必ず幸運がある

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李 彦傑

2020年度卒業生

Q:まず、簡単な自己紹介をお願いします。

A:こんにちは。李彦傑(リゲンケツ)と申します。合肥工業大学水利環境工学部卒業後、3か月ほど中国で日本語を勉強して、日本語NAT-TESTの5級を取得しました。そして、2019年10月生として来日しました。現在は、東京都立大学大学院都市環境科学研究科に在籍しています。

Q:どうして日本に留学しようと思ったのですか?

A:水処理工学に興味があり勉強し続けようと思いました。大学で水処理工学をメインに勉強していて、日本の水処理に関する知識や技術が発達していることから、留学することを決めました。

来日後、もっと自分が勉強したいことに相応しい専攻を探したくて、たくさんの塾に問い合わせしてみました。僕の勉強したいことは専門的過ぎて、塾に断れることが多かったです。それでも、めげずに探していたところ、新領域理工塾の卒業生に僕と同じ専攻の先輩がいました。それがこの塾を選んだきっかけとなりました。

水処理は土木・水利工学の分野に属しています。日本では水処理についての分類が細かく、大学によって研究している内容も違います。進学してから順調に研究できるようにと、塾の先生から土木・水利工学全般について勉強したほうがいいとアドバイスを頂きました。

Q:来日当初はどの大学院を目指していたんですか?

A:自分で言うのも何ですが、卒業した大学は結構いいレベルの大学で、来日当初から自分への期待がとんでもなく大きかったんです。それに、塾で専門知識を担当してくれた宋先生は僕と同じ専攻で、東京大学に在籍していたことから、自分も有名校に入学できるんじゃないかと思いました。そのため、来日当初から東京大学を目指して進学準備をしていました。

Q:順風満帆なものではありませんでした。

A:順風満帆なものではありませんでした。

2019年10月末から、塾の数学の授業が始まりました。基礎をよく理解していたことと、先生たちの指導がよかったため、順調でした。

2020年1月から専門知識の勉強をし始ました。このころ、TOEICも受験しましたが、成績は自分が思っていたほどよくありませんでした。その後も申し込んだのですが、コロナの影響で試験中止が続いてしまいました。それが8月入試の失敗の原因となりました。

TOEICが受験できないといこともあり、東大以外の学校も探し始めました。宋先生のアドバイスで東京都立大学の都市環境学科に興味を持ちました。この二つの大学に入るため、どんな勉強をすればいいのか入念に調べました。

進学準備している時、強く印象に残っていることがあります。それは、塾の日本人の先生のおかげで、日本語の会話が上達したことです。会話の練習だけでなく、何度も大学の教授とのメールや研究計画書などを修正してくれました。大変お世話になりました。

コロナの影響で、東大も東京都立大も英語の出願条件がある程度下がりましたから、少し助かりました。

2021年8月12日、東京都立大の受験に参加しました。緊張したせいでしょうか、焦ってしまい、「解答をやめてください」と言われたのにもかかわらず、1か所だけ修正してしまい、不正で不合格となってしまいました。初めての夏受験、幕が下りました。

気持ちを切り替えて、すぐ次の受験準備に入りました。まだまだ実力不足なのではと感じていましたが、試してみようという気持ちで東大を受験してみました。まさかの1次試験を突破しました。1次試験合格の通知が届いてから、2次試験までにわずか三日しかなかったため、準備不足で案の定で不合格となりました。夏受験、2回とも失敗になりました。

2回の不合格で一時的に落ち込んでしまいました。そして、あっという間に11月なり、宋先生のアドバイスで再度学校を見直しました。高すぎた目標を修正し、たくさんの教授に連絡をとり、一橋大、東京都立大、奈良先端科学技術大から返事を頂きました。この中でも東京都立大の専攻は僕に一番合っているし、教授と面談したあとに「この先生についていけたらたくさん勉強できるだろう」と思い、最終的に東京都立大に志望校を決定し、2月の受験で合格し、自分が行きたい研究室に行くことができました。

Q:進学準備期を振り返って、今どう感じますか?

A:進学まで1年半もかかりました。未来が見えないことが一番つらかったです。本当に日本語学校にも塾にもたくさん助けていただき、感謝しています。学校は自習室を提供してくれたので、勉強が捗りました。また、僕の進学プランに合わせて、クラスの調整もしてくれました。夏受験の失敗後に、校長先生にも温かい声をかけていただきました。塾の先生も専攻だけではなく、日常生活のケアなどもしていただきました。同じ専攻の友人との会話も励みになりました。僕の周りのすべて人たちがとても暖かったです。出会ったすべての人や出来事が、このつらい進学の道をいい結果に導いたんだと今では思っています。

Q:どんな勉強をしていましたか?

A:僕が進学までにしなければならなかったことは、日本語の勉強と専門知識の学習と進学スキルの向上でした。日本語は日本語学校での勉強以外に、自分の専攻に関する本や論文など読みました。大学院へ進学するためには、履歴書の準備、卒業論文の作成、教授とのアポイントメールの書き方、研究計画書の作成などを勉強しなければなりません。また、英語も日常的によく勉強しておいたほうがいいです。専門知識は過去問をたくさん解くことをお勧めします。受験前に過去問をよく理解し、2セットぐらいやっておけば筆記試験は問題ないと思います。

Q:後輩たちの中にも進学を目指して勉強している学生が

     います。後輩たちに何かアドバイスがありますか?

A:後輩たちにいくつかお伝えしたいです。

1もし、留学前に準備時間があるなら、早めに言語の勉強を始めましょう。僕のように英語が苦手だから日本に留学するという考え方は危険です。もし、いい大学に行きたければ、英語力も身につけなればなりません。(この意見は理工学部の学生向けです。文系または美術系の学生は日本語のほうが大事です!)

2日本語試験の取得を、日本語の勉強の最終目的にするな!母国いるときから、日本語の勉強の最終目標はN2もしくはN1を取ることですね。日本語学校にきても、その目標は変わらないでしょう。しかし、たとえN1を取れたとしても、日本人の会話をそこまで理解できないかもしれません。面接でも研究室に入ったあとの勉強でも、なにより、先生の話を理解できることが大切です。それに、目的別で日本語を習ったほうがいいです。進学を目的にしていて、自分が勉強したい専攻も決まっていれば、自分が勉強したい専攻に関する日本語をたくさん習った方がいいです。

3待つんじゃない!時間はすぐに過ぎていきます。目標があるなら、なるべく早めに準備をしてください。日本語学校や塾の先生の協力で進学情報を積極的に収集しましょう。

4体もメンタルもケアする。コロナのせいで、ストレスが半端ないと思います。もし、助けが必要であれば、遠慮なく日本語学校の先生に相談しましょう。自分一人で抱えるよりは、悩みを先生と共有したほうがいいです。学校の先生は熱心です。進学はもちろん大事、しかし、なにより健康が一番です。

5自分をよく知って学校を選ぶ。名門校に惑わされるな。たくさんの失敗を味わったからこそ、僕は自分の実力と向き合い、自分が勉強したい学校を見つけることができました。

Q:たくさんの質問に答えていただきありがとうございま

     した。最後のメッセージをお願いします。

A:日本留学を考えている皆さん、きっと居心地のいい環境から離れて留学するのは簡単なことではないと思います。でも、留学することによって、思いがけないものが身につけられます。もし、留学できるチャンスがあるなら、逃さないようにしましょう!

日本に来て一年半が経ちました。ようやく手に入れた成功は決して自分だけの努力ではありません。サンシャインランゲージスクールの先生方、新領域の先生方、最後まで支えてくれた両親のサポート、すべてが僕の原動力となりました。本当に皆さまに感謝しきれません!ありがとうございました!

李彦傑(中国)
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